今日は私の誕生日だ。あまり誕生日というものには興味がない(なによりそれを祝う意味もわからない)。だからいつものように過ごそうかと思っていたら、友達のかごめちゃんが私の誕生日を祝ってくれると言ってくれた。正直……嬉しい。私はあまり感情が顔に出なく冷たい人という印象があるらしく、なかなか親しい友人もできなかった。だから友人に祝って貰えるなんて夢なのではないかと思ってしまう。

「今日は、うちの神社でパーティーね。珊瑚ちゃんとか他の皆も絶対来るって言ってたわよ」

授業が始まる前。かごめちゃんが今日のことを話してくれる。

「みんな……?」
「うん。サークルの子とか」

サークルの人達も来てくれるのか。皆いい人達だから、来てくれるなら嬉しい。それに、一人一人と皆で話してみたいな。そんなことを思っていたら、かごめちゃんがにっこり笑って言った。

ちゃん、嬉しい?」
「……うん。すっごく……」
「よかった!ちゃん、ってこういうこと嫌いかな。って思っちゃって」
「こういうこと……?」
「パーティーみたいなこと」

かごめちゃんが少し寂しそうな表情を浮かべる。かごめちゃんは大学に入学して初めて声をかけてくれた優しい人。今まで、なぜか遠巻きで見られることが多かった私を受け入れてくれた友達。そんな子の寂しそうな顔は見たくない。

「私、あまり表情変わらないから……嫌な思いさせてたら、ごめんね。……パーティーとか本当に嬉しいの。今まで、したことないし。……かごめちゃん、ありがとう」
「ううん!私、ちゃんともっと親しくなりたいから!」

明るく笑ったかごめちゃんは本当に可愛い。私もこんな風に笑ってるのかな?と一人で想像してみたり。でも、たぶんかごめちゃんみたいには笑えてないな。かごめちゃんは、その笑顔で友達が多いけど私は……。ううん!何事もポジティブよ!今日の誕生日で友達を増やそう!ファイト!

「あとね……」

一人で浸っている私に、かごめちゃんが言う。

「あの蛮骨さんも呼ぶ?」
「え……!?」

突然の言葉に動転してしまう。

「あの人も呼ぶの?」
「ううん。が嫌なら呼ばないわ。でも、蛮骨さんとどうなの?」
「どうって……」
「好きなの?」

かごめちゃんの言葉が頭に響く。あの人のことが好き?あの人は今まであったことがない人。自分の気持ちをストレートに伝えてくる。私とはまったく違う。私はあまり男の人と話したことがないからストレートに私を好きだという彼のあつかいがいまいちわからないの。とりあえず、怯えながら返事を返しているけど一向に諦める気配がない。私が彼に対して思うこと、それは……

「しつこいな……って思う」
「……確かにね」

かごめちゃんが大きく頷いてくれる。やっぱりいい人。





「ちーす!蛮骨の兄貴!」
「ああ、蛇骨か」
「今日、の誕生日らしいですぜ。知ってましたか」
「ああ、当たり前だろう」
「へ〜なんか渡したんですかい?」
の部屋を薔薇で埋めつくしてきたぜ」
「……へ〜」






20071124
不法侵入、そして大いなる嫌がらせ。