「俺のハニー、今日も元気そうだな……。俺と結婚してくださいッ!!!!」
「……ヤダ」

毎朝見る光景にさすがの俺もため息がもれちゃうぜ。あ、俺蛇骨。よろしくたのむぜ。まぁ、そんな自己紹介はさておき。この作品が実は現代パロで俺達が大学生という無理矢理な設定も別に話す必要もないから脇においとくわ。

「結婚してくれ!!絶対に幸せにするから!結婚記念日にはお前に薔薇の花束を贈る!!」
「……」
「照れるお前も可愛いが、そろそろ返事を聞かせてくれ!!いや、はオッケーをくれているというのが俺にはわかる!いや、俺にしかわからないが!やっぱりお前からの言葉が欲しいんだ!!」

さっきから俺の目の前でおこなわれといる蛮骨の大兄貴のプロポーズ大作戦。いや、作戦にもなってねぇけど。これは毎朝おこなわれていることなんだよね。蛮骨兄貴といえば、この辺一帯でも有名な男。そりゃぁ、あんな目立つ男はそういねぇよ。なんたって喧嘩は強いし、男気がある。それにもかかわらず意外に顔はいいからね。そんな一目おかれていた兄貴は恋をしたらしい。お相手は、今年入学してきたとかいう女。正直顔はいい。けど、なんつーかな。クールなんだよ。冷たい目ですべてを見てる感じ。興味ねぇから、よくわかんねぇけどな。ま、そんな女に兄貴は惚れちまったらしい。兄貴がこんなんになっちまった最初を俺は今でも覚えている。うんあれは入学式終了の並木道でおこったんだ。桜の花びらが舞中、兄貴はを見つけた。そりゃぁ桜を見ていたは綺麗で、俺も不覚にも見つめちまったよ。そこだけが別の空間だったんだ。映画のワンシーンのような光景をぶち壊し突如兄貴が大声で叫んだ。

「名前はなんだ!?」
「……です」

ああ、兄貴惚れちまったのか?兄貴もそんな年頃か、と二人を見つめる俺。外見は二人ともお似合いだな。そんなことを考えている俺の隣で兄貴が衝撃的な言葉を言った。

!俺と結婚してくれ!!」

交際すっとばかして、プロポーズをした兄貴に、さすがに周りの奴らも驚いた。もちろん俺も驚いたんだぜ。でも、一人だけ冷静な奴がいた。それがだ。あいつは、兄貴のあまりにも突然のプロポーズに驚くことなく、素っ気なく言いやがった。

「……死んでください」

正直、俺ちびるかと思ったぜ。周りの空気がいっきに下がった。の空気も怖かったけど、今まで兄貴にそんな言葉をはいて生きていた奴なんか見たことないから。ああ、この女、入学したとたんに人生を卒業してしまったよ。と思っちまったよ。でもよ、兄貴は俺の隣で震えながら言ったよ。それだけ言って俺達に背を向けて立ち去ったの背中を見ながら、

「やべっ……ゾクゾクした……ッ」

兄貴―――!!??M!?Mなの兄貴!?それからというもの、兄貴は毎日にむくわれないプロポーズをしている。始めの頃は、楽しんでいた学生達も最近ではいっこうに進展しない二人の関係に少し呆れ気味。いや、ウザイと思ってるね。俺もげんにウザイと思ってるし、兄貴に。絶対に本人には言わないけどね。そうこうしているうちに二人の(一方的な)愛の叫びは終わったらしく、兄貴が俺のもとへやってきた。

「ああ……今日もはキュートだったぜ」

あんな明らかにアンタをうざがっている女のどこがキュートなのか教えてほしいぜ。

「でも、蛮骨の大兄貴。正直なところ、はまったく反応してませんぜ」
「そうか?照れてるじゃねぇか」

あの無表情の顔が照れてるって……。どこをどう見たらそう思うんだろう。意味わかんねーよ。

「でも、このままずっとプロポーズを続けていくつもりなんですかい?」
「ああ、当たり前だ。1000回フラれても、1001回目でOK貰える可能性があるだろう?!」

一応、フラれていることわかってるんだ……。






20071124
1000回の求愛に異常が見え隠れ。