クールで素敵!人に指図されることが大っ嫌いな殺生丸様は夢を見ました。夢の内容は、まぁ、人間的年齢で数えると19歳の男が見る夢ですので、夢見る乙女には語れないものです。ですが、夢の中ですっきりした殺生丸様ですが、少しだけ心配なことがありました。夢の中の相手が大好きなだったのはいいのですが、殺生丸様も19歳の性春☆真っ盛り本性はお犬様。なので、一度たがが外れたらたーいへんなのです。夢の中とは言え、泣き始めるの腰を掴み(あっはーん)をし、あげくのはてには(いゃん☆)な(うっふーん☆)までしてしまった始末。最後には(にゃんにゃん)なことまでしてしまったので、夢の中でに「もう、殺生丸なんて大ッ嫌い!!」なんて言われてしまいました。たかが夢。されど夢。一度傷ついた19歳の男は立ち直れません。こうなったら仕方ありません。殺生丸様は、人に指図されることは嫌いです。けど大好きなに「大ッ嫌い!!」と言われては、おちおち毛繕いもできないので、のためにプレゼントを用意しようと思いました。ですが、何をあげたらが喜ぶのかわかりません。仕方ないので、数少ない知り合いに聞くことにしました。



最初の相談相手はやはり、自分のみじかにいる者達に聞くのが1番。ちっちゃいモノ代表の邪見とりんです。



「りん、邪見」
「どーしたの?殺生丸さま」
「殺生丸様いかがなさいましたか!?」
「……」
「なっ!なんということだ!?この邪見、殺生丸様にお仕えして数百年。殺生丸様が、ほ、ほ、ほ、ほ、頬を染めるなど!!天変地異の前触れか!?」
「本当だ!邪見さまー。殺生丸さま、病気なのー?」
「あんずるな、りん!殺生丸様とて、生き物!このほのかな朱色に染まる頬は恐らく風邪をひかれたのだ!!」
「まー!」
「この邪見。お仕えしてこのかた。殺生丸様が、風邪をひかれるのを見たことがありませんでしたので、ついバカは風邪をひかないと言う言葉は、殺生丸様のことかと、思っておりました!いや、殺生丸様は、バガッハ!!」
「きゃー!殺生丸さまが、邪見さまを蹴った!!」
「我が……人生に、くいなし……」



邪見のとんだ言葉にさすがの殺生丸様も手がでてしまいました。大丈夫!内臓は傷つけておりません。ですが、邪見がこの調子では、相談もできません。ここは一つ、年寄りの知恵をかりましょう。樹齢二千年の朴の木、朴仙翁です。


「来るころだと思ったぞ」
「朴仙翁……」
「いや、何も言わんでよい。殺生丸……。若いというのは誠によいことだな。わしもそれなりに淡い心を持っていたこともあったのじゃぞ。そう、あれはわしがまだ苗木の頃だった……。日照り続きで、まだ若いわし枯れそうになっていた。そこに一人の女がわしに水をかけてくれたんじゃ。あれは、誠によい女じゃった……。それから、女はわしのために!わしだけのために!水を毎日かけてくれたのだ。それが、どれだけ嬉しかったか……。殺生丸よ。妻にするなら、ああいう器量の良い娘に……って、あれ?」



あらあらどうしたことでしょう。殺生丸様は朴仙翁の話しを無視して帰ってしまいました。年寄りは話しが長いうえに若者と趣味もあいませんので、聞いても仕方ないということを殺生丸様は悟ったらしいのです。そして、他に誰か知り合いはいないか。と考えて最終的にと歳も近い犬夜叉の連れかごめに聞くのが1番と考えました。思い立ったらすぐ行動。殺生丸様はさっそく犬夜叉の匂いを追いました。空の旅をしていますと、いました。犬夜叉とかごめです。他の連れは留守らしく二人で河川敷に座っています。どうやら犬夜叉は殺生丸様が風下にいるため、匂いに気付いていないようです。話しかけようと思いましたが、殺生丸様は足を止めました。殺生丸様ご自慢のベリーグッドイヤー犬耳☆に二人の会話が聞こえてきたのです。



「いい、犬夜叉!女の子はムードが大切なの!」
(むーど……、とはなんだ?)
「はぁ?むーどってなんでぃ!?」
「う〜ん、ムードって言うのはね。その場の空気を読むことよ!」
「その、ムードがなんで大切かわかんねぇよ」
「例えばね、こう女の子が落ち込んでる時に、そっと傍に寄って肩を抱くとか。そーいうのがムードなの!」
(そういうものなのか……)
「それが、弥勒と珊瑚にどう関係するんだよ」
「本当に、犬夜叉。あんたって鈍いわね!どう見ても珊瑚ちゃんは、弥勒様にムードを求めてるでしょう!なのに、弥勒様と来たら……いい感じの場面で尻は撫でるわ……。本当に女の子の気持ちなんて考えてないわ!」
「おめぇは……」
「ん?」
「おめぇは……欲しいのかよ。そのムーデイーって奴を……」
(ムードだ犬夜叉!我が義弟ながら、頭が悪い……!)
「私は……」
「かごめ……」
(私が見てる前で、見つめあうな……!)



犬夜叉とかごめがイチャイチャし始めてしまったので、殺生丸様は素直に帰ることにしました。他人の邪魔をしない。これが殺生丸様流なのです。ですが、困ってしまいました。にどんなプレゼントをすればいいのでしょうか。いっそのこと、妖怪か何かを……いや、そんなことをすればに嫌われるような気がします。でわ、何が……。そうこうしているうちに、の匂いが鼻を掠めました。どうや、のもとへ着いてしまったようです。プレゼントも何もありません。どうしましょう。



「あ……!殺生丸!どうしたの……?いつもにまして、険しい顔をして?」
「いや……」
「ふ〜ん。変なの」
「……
「なに?」
「私に……して欲しいことはないか?」
「へ……」
「……」
「び、びっくりしたー。殺生丸がそんなことをいうなんて……!天変地異の前触れ!?」
「……して欲しくないのなら、それでいいが……」
「いいえ!あります!!今、考えます!」
「早くしろ」
「う〜ん……そうだな……。あっ!!」
「決まったか」
「はい!え〜と、殺生丸が肩からかけてる、そのもこもこしている毛皮に……触りたい……ダメ?」
「ッ……勝手にしろ」
「やった!!えへへ。じゃぁ、お邪魔しまーす」



かわいらしいのお願い事に殺生丸様のお犬様が大変なことになりそうです!!ですが、内心冷や汗を垂らしながらも耐え抜き、毛皮を思う存分に触っているの肩に手を回しました。



「もう少し……こちらに来い……」
「殺生丸……」
「ふっ……こう言うのを、ムーデイーと言うのだろう……?」
「……殺生丸……ムーデイーじゃないよ。ムードだよ……」
「……」



ムーデイー勝山じゃないよ!!と、突っ込まれてしまった殺生丸様は恥ずかしさを振り落とすように、を組み敷き攻め立て、泣き始めるの腰を掴み(あっはーん)をし、あげくのはてには(いゃん☆)な(うっふーん☆)までしてしまった始末。最後には(にゃんにゃん)なことまでしてしまったので、夢の通り「もう、殺生丸なんて大ッ嫌い!!」って言われてしまいましたとさ。右から左へ受け流す〜。







頑張れ!殺生丸さま!!





20071027